遺贈について
昨今、社会貢献のため自分の死後、特定の人や団体に財産を譲る「遺贈」に対する
関心が高まっているようですが、少子化の影響や単身のおひとり様が増えたことが
背景にあるようです。
今回はその遺贈について触れてみようと思います。
遺贈とは、財産のある人が遺言により相続人以外の人や団体に
その財産を与える行為のことです。
日本財団が昨年3月に実施した世論調査では、60歳以上の親世代の2割強が
遺贈に前向きで、59歳以下で親がいる子世代の半数弱は
親の遺贈に賛成の意向を示しています。
遺贈を考える人の理由はさまざまですが
子供のいない夫婦の場合は普段あまり付き合いのない親族に残すよりは
社会に貢献したいとの意向があるようです。
また、子供がいる場合でも余計な財産を残すことで争ってほしくない…とか
相続人がいない場合は、遺言書がないとその人の財産は国庫に入るので
自分で使い道を決めたい…という人もいます。
遺贈をする方法としては遺言書を作成し、遺言執行者が遺言で指定された相手に
遺産を贈る手続きをします。
その際に遺言の付言事項で自分の気持ちを記載することをお勧めします。
付言事項とは、法律に定められていないことを遺言書で付言する事で
法的な効力は生じませんが、「ある団体に、こんな風にお世話になった」など
死後に自分の思いを残すことで周囲も納得してくれると思います。
また、子供たちに遺言書を残す場合でも、付言事項を記載することで
遺言者の思いが伝わり、相続人間で紛争になりにくく
また良好な関係を続けることができるのではないでしょうか。
ただ、ある団体に全ての財産を遺贈したいと遺言書を残した場合でも
「遺留分」という法定相続人が相続財産の一定割合を必ず確保できる
法的な権利がありますのでご注意下さい。