配偶者の居住権について
前回のブログで、民法の相続分野の見直しについていくつか触れましたが
その中で今回は「配偶者居住権」に焦点を当ててお話ししようと思います。
残された配偶者の優遇措置として
これまで通りの家に住み続けられる権利のことですが
亡くなった人の住居の権利は「所有権」と「居住権」に分けて
価格を評価することになります。
配偶者は居住権を獲得すれば所有権が誰に移っても家に住み続けることができ
原則亡くなるまで行使でき、譲渡や売却はできなくなります。
気になる評価額ですが、平均寿命などを基に算出され
配偶者が高齢であるほど安くなることが想定されます。
現行でも配偶者が所得すれば済み続けることができますが
建物の評価額が高額の場合、他の相続財産を十分に取得できないケースなどが
指摘されてきました。
今回の法改正により配偶者が居住権を得れば
預貯金等などより多く相続することができるようになります。
例えば現行法では、夫が死亡し妻と息子一人が
家(評価額が2000万円)と預貯金など(3000万円)を
法定相続通り2分の1ずつ分割する場合
妻が家を取得すると現金などは500万円しか取得することができません。
これに対し居住権の評価は所有権より安くなるため
他の財産をより多く受け取ることができます。
さらに婚姻期間が20年以上の夫婦で、家を配偶者に生前贈与するか遺言を残した場合
その家は遺産分割の対象にしないことも定めています。
民法の相続分野の大幅な見直しは、1980年以来約40年ぶりだそうですが
超高齢化社会に向けて、配偶者の今後の生活を守るためにもやはり法改正は
必要だと共感しました。
次回は他の法改正についてお話しようと思います、お楽しみに…。