自筆証書遺言の改正について
相続に関する民法が約40年ぶりに見直されていることについて
ここ数回にわたりブログでお伝えしていますが
今回は自筆証書遺言についての改正について取り上げたいと思います。
遺言書には公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
作成できる年齢は15歳からで年齢制限はありませんが
重要なのはいずれも作成時に意思能力があることです。
公正証書遺言は公証人役場で作成し、原本は公証人役場で保管されます。
立会人のもとで公証人が遺言内容を口述し作成するのもので
費用はかかりますが以下のメリットがあります。
〇形式内容の不備による無効のおそれがない。
〇紛失・隠蔽・偽造のおそれがない。
〇家庭裁判所による検認手続きが不要である。
一方、自筆証書遺言は手軽に作成でき費用もかかりませんが
デメリットもいくつかありました。
今回の法案が通ればそのデメリットが大幅に改善されます。
ちなみに改正案は下記の通りです。
〇従来自分の責任で保管しなければならなかったのが、法務局でも保管が可能になる。
(法務局では画像情報で保管)
〇法務局で保管すれば家庭裁判所での「検認」の手続が不要になる。
〇従来は全文が自筆だったのが財産目録に限りパソコンでの印字が可能になる。
このように制度が改善されれば、遺言者にとっても従来よりも十分安心できますが
一方で記載漏れなどにより思いが通じない場合もあるようです。
それぞれ一長一短がありますが、お子様がいないご夫婦や
法定相続人以外の人に遺産を上げたい場合、紛争の可能性がある場合など
遺言書を作成しておいた方が良い人は、いずれかの方法で遺言書を作成しておくことをお勧め致します。