民事信託セミナー
先月、民事信託の第一人者と言われています、業界でも有名な先生が旭川に
お越しいただき、当事務所主催で民事信託のセミナーを開催しました。
最近何かと話題になっている通称「家族信託」とも言われていますが
耳にしたことがある方もいるのではないかと思います。
2006年の信託法の改正により利用しやすい制度になりました。
それでは、なぜ最近民事信託が注目されるようになったのでしょうか。
その背景には高齢化社会に伴い認知症になる人が急増しているからだそうです。
平成27年度は440万人だったのが平成37年には700万人になると予想され
65歳以上の5人に1人が認知症になると言われているそうです。
では具体的にどのようなものなのか、どのようなメリットがあるのかおおまかにご説明したいと思います。
家族間で信託契約を結び財産の管理を任せることで
財産を持っている人(委託者)が一定の目的のために信頼できる家族(受託者)に
財産を託し、受託者は契約に従ってその財産を管理・処分し
得られた利益を受益者に給付することです。
原則的に委託者と受益者は同一人物で、財産の名義のみを受託者に変更し
その権利は委託者がそのまま保有します。
現行では、成年後見人がつくと資産の運用ができず
自身が亡くなるまで財産が塩づけになってしまいますが
民事信託の場合、受託者は柔軟な財産管理が可能で
契約内容によっては不動産を売却し処分することも可能になります。
また、成年後見人は本人の判断能力が衰えるまでは財産管理はできませんが
民事信託であれば判断能力があるうちから自分の希望する人に
財産管理を任すことが可能ですので、もし本人が判断能力を失った場合でも
スムーズに実行することがでます。
財産承継の順位づけも可能になり、一般的な相続対策には「生前贈与」や「遺言書」を利用したものがありますが、これらには遺贈した財産に対してその次の相続人を
指定することはできません。
一方、民事信託を利用すれば、最初に指定した受遺者が万が一亡くなってしまった場合でも、次の受益者を誰にするなど指定できるので、痒いところにも手が届く
便利な制度です。
他にもさまざまなメリットがありますが、それぞれの家族に見合った柔軟な資産運用が可能になる、とても画期的な制度といえるのではないでしょうか。